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2017.04.06

ヌーヴェル・セレクションの試飲会で見つけたおいしいワイン

 ヌーヴェル・セレクションの試飲会に行ってきました。膨大な品目数を扱う輸入元ですから、試飲会も大規模。若い世代の人たちで混雑していました。

 上田社長が言うところでは、「扱うワインの方向性はますますはっきりしてきて、赤は薄旨、白はミネラル」。それは実際に試飲しても理解できます。

 その上で感じたのは、昔よりおだやかな表情のワインが多くなったな、ということ。「それなりに年とって丸くなってきたのかな」と聞くと、「いや、もっととんがってきたような気がします」。しかしそれはある意味同じで、やるべきことが分かってきたから迷いがない、という側面を言っているのか、それとも、無駄なことをせずフォーカスがはっきりしてきた、という側面を言っているのか、でしょうね。

 多くのワインに共通する特徴は、浸透性、だと思います。つまり、口に入れた時に粘膜を刺激してその表面にとどまるような実体的で固形的なワインの味ではなく、より軟体的ないし気配的で、粘膜にそのまますーっと染み込むような味。上田社長が「浸透性の他の言い方はありませんかね」と聞くので、「染み込み力、ですかね」と答えました。それは大事なことです。実際、よいワインは、特にオーガニックのワインは、確実に染み込み力が強くあります。テイスティングの時にも着目すべき点で、評価指標に含まれるべきだと思います。

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 ヌーヴェル・セレクションはブルゴーニュの品目数がとりわけすごい。人気の
Agnes Paquet Auxey-Duresses Blanc 2015は、いつもながらの開放的な若々しい表現力と、躍動的な密度感があって見事。最も印象的だったのは、Douhairet-PorcheretMontelie Rouge Cuvee Miss Armande 2015。色は薄く、まろやかな甘い香りで、口あたりが柔らかく、ふわーんと染み込み、中でしっかりとしたミネラルの構造をさりげなく立ち上げる、飲んで寛げる味わい。モンテリーに期待したい、繊細で上品でキメ細かいながらも適度に土っぽい親密性が感じられます。Porcheretは、長年のブルゴーニュファンならご存知のとおり、ドメーヌ・ルロワの初期の醸造長だった人です。あれこれ細かいことを考えなくとも自然に身体が動いて見事な結果を出す職人の仕事。譬えて言うなら、名匠のさりげない灰釉の抹茶椀をぽんと目の前に出されたかのようです。一見ふつうに見えるのですが、じっくり見ていると力の押し引きの具合が見事で、間然とするところのない高い完成度なのだとしみじみ分かるような、緊張感と弛緩感の静かなダイナミズムが枯淡の表情の中にふつふつと感じられるような印象のワイン。最近はがんばったワインは多いし、有言実行味のワインが目立つ中、珍しくも不言実行味のワインです。希望小売価格は5900円。雉と合わせてみたい味。雉といえばヴォルネイもいいでしょうが、そちらはミシュラン星付きレストランで。モンテリーはよりビストロ的なくつろぎがあります。家庭なら地鶏料理がいいでしょう。

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 彼らのロワールのセレクションには感心します。全体にツンツンしておらず、どこかぽちゃっとした丸みやかわいらしさがあると思います。品がいいカジュアルさがいかにもロワールです。その中で、Denis JamainReuilly Blanc Fete St.-Valentin 2014 (3100円)と Anthony Girard Menetou-Salon Blanc La Clef du Recit 2014(3900円)が印象的でした。くっきりして上昇力のあるReuillyとどっしりして低く構えるMenetou-Salonの個性がよく表現されつつ、当たりがソフトで浸透性があります。それにしても2014年のロワールにまずいものはないですね。ロワールらしさ全開の、特に白ワインに関しては空前と言える見事なヴィンテージです。

 

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