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2017.08.09

大阪のジョージアワインレストラン

 8月7日、開店が間近になった大阪のジョージアワインレストランに、再びお手伝いに行っておりました。

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▲店内にはジョージアな感じの置物がいろいろ。下写真の十字架は、ジョージアにキリスト教を伝えた聖ニノの十字架の形です。


 グラスワインは基本、グラスではなく、磁器のカップで提供します。前回行った時に業務用の食器カタログからいくつかサンプルを選んでおきました。私がいない時に行われた招待客のためのプレ・オープニングで、それらを皆さんに試していただき、おいしいと評価されたものを私が最終的にチェックしてみました。理想的とは言えないまでも、価格、耐久性、容量、仕入れ方法、そしてもちろん味等々を考えた上で、よいものに巡り合えました。

 興味深いことに、クヴェヴリ発酵のワインはすべてカップのほうがおいしく、ツヴィシとフヴァンチカラはグラスのほうがいいというのが皆さんの結論でした。ツヴィシとフヴァンチカラは石灰岩土壌です。どう解釈していいか分かりませんが、確かにツヴィシとフヴァンチカラはある意味フランスっぽいというか、グラスっぽい味ではあります。

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▲いろいろな器でワインをテイスティングしてみました。ここは磁器カップでグラスワインを提供する世界唯一の店かもしれません。多くのお店がカップを採用してくださることを願ってします。



 ワインに詳しいことを自認する方々は、ほぼ100%、ワインはグラスで飲むものだと言います。往々にしてそのような意見は、個々人の研究結果や内面からの切実な主張というより、権威ある誰かからの受け売りでしょう。そのような権威を無条件的に受容し、無意識的に踏襲することが正しいとは思えないので、つまり、自分がおいしいと思うものをおいしいと言うだけなので、全ワインの半分以上はカップで飲むほうがおいしいと素直に思いますし、ですから私のワイン講座では、樽香が強いもの以外は概してカップでお出ししています。当然のことながら、ワインでも日本酒でもグラスより陶磁器のほうがおいしいと言い続けている私は、ワインファンやプロの方々からは非常識、味音痴と蔑視されます。昔の絵や彫刻で登場人物がどうやってワインを飲んでいるかを見て知っているなら(ノアやキリストがチューリップ型ステム付きグラスで飲んでいますか?)、私がむしろ伝統主義者・古典主義者であると思われるはずなのですが。とはいえ私は伝統だからカップと言っているのではなく、形が理にかなっているからそう思うのです。ではその理とは何かが、本当なら議論したいところですし、そうした議論を重ねていけば本当によい形とは何かが集合的努力の結果として見えてくるはずなのです。

カップではスワーリングが出来ずに香りがわからない、と、ワイン通の方に言われたそうです。そういう話を聞くと、生半可なワインの知識は百害あって一利なしだとつくづく思います。私がレストランに行くのが嫌いなのは、グラスのステムをつまんでぐるぐる回している人たちを見ざるを得ないからです。せっかくきれいに作ったケーキをぐちゃぐちゃにしてから食べるようなことをして、ワインが好きだとかワインの味がどうこうだとか、どの口が言えるのか。

スワーリングを否定はしても(ちなみに、それは正しく造られて正しい飲み頃のワインの話です。私も熟成途中の還元状態のワインを試飲するときはスワーリングします。当たり前です。それがスワーリングの意味なのですから)、グラスはグラスなりのよさがあることは否定しませんが、実際に比較して飲む前に、そして何を目的とし、何を得ようとし、何を評価軸としているのかを自覚せずに、「グラスで飲まねばならない」と教条主義的に判断してはいけないと思います。その点、教条主義や権威主義に陥りようのない純粋な素人のほうが、曇りなく味を判断していただけるようです。いったんカップで飲むワインの味に慣れると、グラスで飲むワインの味の固さ、冷たさ、小ささ、果実味のなさ、タンニンと酸のとんがり方が気になるものです。パーティの時もおかわりはほぼ全員カップだったそうです。それがすべてを物語っています。たくさん飲める、飲みたくなる容器での提供は、飲食店にとっては、それだけで正解でしょう。そもそもここはジョージアワインレストラン。カップに違和感があるはずがない。ジョージアでは伝統的にはピアラというカップでワインを飲むのですから。

ではなぜピアラで出さないのか。ピアラで飲むワインのパワーの前では、他のどんなカップもかすむというのは知っていますが、実際にピアラを家で使うと。前に飲んだワインがしみ込んで、次のワインに味が移ります。ジョージアの人が家の前に植えてあるブドウでひとつのワインだけ作って毎日飲むといった、想定される使用状況では問題ないと思いますが、業務用としては問題です。そして独特のにおいが抜けません。それはジョージアの土のにおいで、ジョージアでは気になりませんが、日本では違和感があります。どこにも「国のにおい」はあるのです。最大の問題は洗浄です。洗剤で洗うと洗剤もしみ込みますから、洗剤が使えません。自家用ならいいでしょうけれど、レストランではそれは衛生上、法規上からして無理です。

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▲大阪といえばやはり、これ、でしょうか。


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▲千日前道具屋筋。飲食業関連商品を見るのはいつでも楽しい。



この店には会社帰りに気軽に来ていただけるよう、ジョージアワインお試し3種、タパス3種、串揚げ3本、といったお買い得なセットもあります。当初串揚げはメニューになかったのですが、急きょ付け加わったようです。ですから「なんばグランド花月」のすぐ先にある千日前道具屋筋(東京でいうかっぱ橋)に串揚げの串を買いに行くことから始めました。「串のほとんどは中国製で、どのような薬品処理をしているのか不安だ」という社長は、数少ない日本製の中から選んでいました。そういった観点とジョージアが結びつくのです。

それからサペラヴィ&牛串用ソースと、ルカツィテリ&豚串用ソースの試作。30年も前のとんかつ屋としゃぶしゃぶ屋での経験が生きました。ジョージアワインはパワフルだし旨みがのっているしスケール感も大きいので、串揚げもそういう味にしていかねばワインに合いません。串揚げ専門的なら十数本食べることになるので、控えめな味がいいのですが、3本ですから、また異なった考え方が必要となります。牛肉の串と蓮根カレー風味豚ひき肉詰めの串を作って食べてみると、これがなかなか自画自賛できる味。串揚げのおもしろさにはまりました。

これを読まれている飲食店の方で、ワインと料理に関する私の意見を聞いてみるのもおもしろいかなと思われましたら、お気軽にご連絡ください。なんらかのお手伝いはできると思います。

 

 

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