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2017.10.20

日本―チリ修好120周年、日本―チリ経済連携協定締結10周年記念イベント

 チリワイン抜きの日本のワイン消費も、チリの海産物なき食卓(特にサーモン!)ももはや考えられないほど、そして直接目には見えませんが、チリの銅なしにはどんな電気系産業も成り立たないほど、日本とチリの関係は密接です。

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エドワルド・フレイ元大統領(32代、上写真)もお見えになってのイベントでは、チリのすばらしさを再確認することになりました。
 もちろんワインもたくさん陳列されていました。印象的なものをかいつまんでお伝えすると、
1、オチャガヴィアのカベルネ・ソーヴィニヨン

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 1851年にソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、リースリング、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、マルベック、ピノ・ノワールを植え、チリをボルドー品種の大産地へと変革していく道筋を開いた最初のワイナリー、オチャガヴィア。その歴史的な功績についてはよく知られていることなので詳しくは触れません。味わいの安定感に、老舗の風格を感じます。

2、ミゲル・トーレスのパイスのスパークリング

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 これからチリはスパークリングワインに注力するそうです。昨日も著名ワインジャーナリストを集めてスパークリングワインのイベントが開催されたようですから、いろいろな情報がこれから伝わっていくことでしょう。私はあまりシャンパーニュもどき系スパークリングには興味がありません。それはどの国でもそうです。しかしスパークリングというスタイルじたいには多いに可能性があります。それが理解できるのが、オーガニックのパイスのスパークリングです。穏やかな品種の個性と洗練されたトーレスのスタイルのバランスが絶妙です。

3、トレオン・デ・パレデスのレイダのソーヴィニヨン・ブラン

 レイダの清涼感、塩辛さ、キレのよさ、そして強烈な香りの表現力がよく分かる品種は、なんといってもソーヴィニヨン・ブランです。海岸から7キロという畑から生まれるこのワインはレイダの個性の塊。新世界のソーヴィニヨン・ブランとしては最高峰のひとつでしょう。

4、アラス・デ・ピルケのカルメネール

 チリ最古のサラブレッド飼育場として始まったアラス・デ・ピルケは2002年にアンティノーリ侯爵家と組み、かのレンツォ・コタレッラを醸造家として、素晴らしく洗練されたオーガニック・ワインを作りだしています。畑はマイポのピルケにあります。ピルケ独特のさらっとした味わいと細かくソフトなタンニンと酸。コンチャ・イ・トロやサンタ・リタもピルケにあることからも分かるとおり、ここはチリのグラン・クリュです。頼りないといえば頼りないのがピルケですが、しかし抜けのよさ、しっとり感、スムース感、タンニンの細かさ、酸のしなやかさ、香りのエレガンスは特筆すべきものがあります。本来ならカベルネ・ソーヴィニヨンのためのテロワールだと思いますが、ピルケの個性はカルメネールでも明確です。マクールやプエンテ・アルトのような実体感のある逞しい構造とはまた違うマイポの個性が楽しめます。ブースにいたエノテカの方は「レストランのハウスワインとしてよく売れています」と言っていましたが、それはうなずけます。普通、これ以上の品質は必要ありませんし、1200円のカルメネールとして、どこから見ても非のうちどころのない完成度です。

5、ヴィーニャ・アキタニア
 チリで作るフランスワインそのものだと思います。ものすごく知的に洗練されたワインです。ポール・ポンタリエやブルーノ・プラッツが創業したワイナリーです。彼らのことを思い出します。
 今飲むと、時代錯誤的だと思います。そういうボルドー格付けシャトーの有名人のご意向をウリにしてチリワインを語ることじたい、もはやカッコ悪いことです。フランスかぶれのワインファンには通用するのかもしれませんが、チリワインへの愛情が感じられません。ブースにいた徳岡の方とこんな会話をしていました。
田中「うーむ、味が冷たい。チリっぽくない」。
徳岡「チリっぽくないというのは分かります」。
田中「ボルドーがボルドーを飲めばいいのであって、こういうのは時代遅れでしょう」。
徳岡「だめでしょうか」。
田中「だめじゃないですか。ワインとしてだめなのではなく、まず思想的に間違い。どこぞの国ではあるまいし、日本ではこういう発想は胡散臭いとしか思われない。さらには徳岡さんらしいとも思わない。他のワインはけっこう包容力があってやさしさがあると思うのですよ。先日徳岡さんの銀座のお店でいろいろ試したのですけど、これだけが違和感があった。仕事帰りにこういう冷たいタイプを飲んでも癒されないでしょう」。

6、プルソのマルベック

 宮城県のプエンモストは、チリに住んでいたという社長の箱崎舞さんが選ぶ、チリ最先端の高級ワインばかりを扱うユニークなインポーターです。いろいろとテイスティングしましたが、どれも基本的に、サンチャゴ中心地の高級レストランでサービスされるにふさわしい味。サンチャゴでよい暮らしをしていた一流企業駐在員なら、懐かしい、と思われるかも知れません。全体にさらっとして、ちょっと早摘み系ですから、そういう方向性のワインが好きな人にはお勧めです。このプルソは年間4千本しか生産されません。日本にも90本のみの入荷です。バリックとコンクリートエッグ熟成というのがいかにも今風。コルチャグアはカルメネールで有名ですが、実はマルベックの出来もよく、これから注目です。アルゼンチンより標高がずっと低く降水量もあるので、チリのマルベックのほうが神経質さがありません。それがよく分かります。しかし値段は10500円です。相当ニッチですね。高級ワインバーのオルタナティヴ動機(受け狙いとも言えます)ワインとしては最高かも知れません。

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