« 南チリのワイン at 薩摩焼肉 黒桜 | トップページ | ブルゴーニュ ドメーヌ・コンフュロン・コトティド »

2017.10.23

オーストリアワイン試飲会&セミナー2017

 925日から28日にかけて、東京・名古屋・大阪で、オーストリアワインの試飲会とセミナーが行われました。写真は東京会場の銀座ホテル・モントレー、名古屋会場の中日プラザ、大阪会場の大阪ホテル・モントレーです。まだ早い時間に撮影したので閑散としていますが、実際は盛況で、オーストリアワインに対する関心の高さが分かりました。知る人ぞ知る存在でしかなかった十数年前と比べると隔世の感があります。
 

 私は今回は三都市で、来日したオーストリアワインマーケティング日本担当のミヒャエル・ツィマーマンさんと共にセミナーを行いました。三回はレストラン&ショップ向け、一回は輸入元向けです。プロ相手のセミナーは、ある意味、楽ですし、楽しいものです。皆さんワインについて当然ながら見識・知識が高いので、その上での議論ができて、私も勉強になります。

 
 東京でのメインテーマは、お買い得かつ上質なオーストリアワイン。残りはすべて、グリューナー・ヴェルトリーナーとツヴァイゲルトがテーマです。...
 
 オーストリアワインは意外とお買い得なので、そのこともしっかり理解していただくべく、東京のセミナーはストレートに2000円台中心でいろいろな品種・産地のワインを取り上げましたし、他会場でのセミナーも基本は安価なワインばかりです。さらに試飲会場では2000円以下と3000円以下のブースを作り、コンシエルジュ役としてオーストリアワイン大使の方々にその場に立っていただいて、オーストリアワインについて知らない方々への対応をしました。プロにとってプライスポイントは絶対であって、ある値段でどのようなワインを扱うことができるかを一覧できるのがいい(少なくとも試飲時間の節約になる)と思ったからです。オーストリアワインは、値段と質が比例するわけではありません。むしろ通になればなるほど、概して高いワインより安いワイン(リザーブよりクラシック)のほうがおいしいと思うようになります。私もそうです。安いワインの示すカジュアルながらも気品のある洗練された味が好きなのです
 
 グリューナーとツヴァイゲルトに焦点を絞ったのは、このふたつでオーストリアのブドウ栽培面積の半分弱を占めるからです。つまりこのふたつをしっかり理解しておけば一般的な商売のための知識としては十分です。うろ覚えや勘違いを含む薄い知識で10品種について知っているより、5倍濃い正しい知識で2品種を覚えるほうが使える知識になります。それにこの二つは、オーストリアならではのワインの個性をしっかり体現しているからです。
 
 酸がオーストリアの個性だと考える人が大変に多いのですが、誰がどこでそう教えているのかと思います。グリューナーもツヴァイゲルトも、あまり酸がない品種です。しかし鈍重には決してなりません。すっきりしていて、軽やかで、フルーティーでいながら、まるみと適度な粘りがあって、ミネラリーで余韻が長い。これがいいのです。
 
 グリューナー=白コショウの香り、という人も多いのですが、これも誤解です。白コショウの香りはレス土壌の香りです。ツヴァイゲルトでもクレムスタール等のレス土壌では、まさにその白コショウの香りがします。いろいろな香りになりえますが、すっきりした香りであることに変わりはありません。ですから今回は、ソーヴィニヨン的に始まってシャルドネ的に終わるのがグリューナーの個性だと言いました。それが日本の食材の個性に合うのです。
 
 ツヴァイゲルトは酸がないだけではなくタンニンもあまりありません。しかしボケた味にならないのはミネラルがしっかりしているからです。その大きな理由は、オーストリアではオーガニックが大変に普及していて、ヨーロッパ最大のオーガニック大国だからです。農薬を多用していてはミネラル感が出てこないのは世界じゅうどのワインでも同じです。似たキャラクターを探すならガメイとマスカット・ベイリーAだと思いますが、両者よりツヴァイゲルトのほうがタンニンが細かくて上品な味です。私は日本の料理に最も適応範囲が広いのがツヴァイゲルトだと思っています。

 オーストリアワインは意外とお買い得なので、そのこともしっかり理解していただくべく、東京のセミナーはストレートに2000円台中心でいろいろな品種・産地のワインを取り上げましたし、他会場でのセミナーも基本は安価なワインばかりです。さらに試飲会場では2000円以下と3000円以下のブースを作り、コンシエルジュ役としてオーストリアワイン大使の方々にその場に立っていただいて、オーストリアワインについて知らない方々への対応をしました。プロにとってプライスポイントは絶対であって、ある値段でどのようなワインを扱うことができるかを一覧できるのがいい(少なくとも試飲時間の節約になる)と思ったからです。オーストリアワインは、値段と質が比例するわけではありません。むしろ通になればなるほど、概して高いワインより安いワイン(リザーブよりクラシック)のほうがおいしいと思うようになります。私もそうです。安いワインの示すカジュアルながらも気品のある洗練された味が好きです。

 グリューナーとツヴァイゲルトに焦点を絞ったのは、このふたつでオーストリアのブドウ栽培面積の半分弱を占めるからです。つまりこのふたつをしっかり理解しておけば一般的な商売のための知識としては十分です。うろ覚えや勘違いを含む薄い知識で10品種について知っているより、5倍濃い正しい知識で2品種を覚えるほうが使える知識になります。この二つは、オーストリアならではのワインの個性をしっかり体現しています。

  酸がオーストリアの個性だと考える人が大変に多いのですが、誰がどこでそう教えているのかと思います。グリューナーもツヴァイゲルトも、あまり酸がない品種です。しかし鈍重には決してなりません。すっきりしていて、軽やかで、フルーティーでいながら、まるみと適度な粘りがあって、ミネラリーで余韻が長い。これがいいのです。

 グリューナー=白コショウの香り、という人も多いのですが、これも誤解です。白コショウの香りはレス土壌の香りです。ツヴァイゲルトでもクレムスタール等のレス土壌では、まさにその白コショウの香りがします。いろいろな香りになりえますが、すっきりした香りであることに変わりはありません。ですから今回は、ソーヴィニヨン的に始まってシャルドネ的に終わるのがグリューナーの個性だと言いました。それが日本的な料理の個性に合いやすいと思います。

  ツヴァイゲルトは酸がないだけではなくタンニンもあまりありません。しかしボケた味にならないのはミネラルがしっかりしているからです。その大きな理由は、オーストリアではオーガニックが大変に普及していて、ヨーロッパ最大のオーガニック大国だからです。農薬を多用していてはミネラル感が出てこないのは世界じゅうどのワインでも同じです。似たキャラクターを探すならガメイとマスカット・ベイリーAだと思いますが、両者よりツヴァイゲルトのほうがタンニンが細かくて上品な味です。私は日本の料理に最も適応範囲が広い赤ワイン品種のひとつがツヴァイゲルトだと思っています。

 セミナーでは他に、以下のような視点からお話をしました。そのうちいくつかを挙げると、

1、オーストリアワインは平均所有畑面積が2ヘクタールしかない小規模農家主体の産業であること。つまり、手作り感の強いワインが多いこと。オーストリアには西欧のような壮麗な巨大セラーがあまりなく、写真を見て「おお!」とは思わないかもしれないが、それこそがいい。地元に密着した、地元の農家が自分たちのために造るワインこそがオーストリアの魅力であり、ゆえに誠実な味が必ずするのだ、と。

2、オーストリア独特のあ グリューナー=白コショウの香り、という人も多いのですが、これも誤解です。白コショウの香りはレス土壌の香りです。ツヴァイゲルトでもクレムスタール等のレス土壌では、まさにその白コショウの香りがします。いろいろな香りになりえますが、すっきりした香りであることに変わりはありません。ですから今回は、ソーヴィニヨン的に始まってシャルドネ的に終わるのがグリューナーの個性だと言いました。それが日本の食材の個性に合うのです。
 
 ツヴァイゲルトは酸がないだけではなくタンニンもあまりありません。しかしボケた味にならないのはミネラルがしっかりしているからです。その大きな理由は、オーストリアではオーガニックが大変に普及していて、ヨーロッパ最大のオーガニック大国だからです。農薬を多用していてはミネラル感が出てこないのは世界じゅうどのワインでも同じです。似たキャラクターを探すならガメイとマスカット・ベイリーAだと思いますが、両者よりツヴァイゲルトのほうがタンニンが細かくて上品な味です。私は日本の料理に最も適応範囲が広いのがツヴァイゲルトだと思っています。続くホイリゲやブッシェンシャンクという業態は、レストランとワイナ  リーが一体化しているということであり、オーストリアワインはもともと料理と合わないわけがないこと。どういう特性のワインなら料理を引き立てるかは、ワインの商品設計のうちに無意識にも組み込まれていること。

3、オーストリアは歴史的に西洋文化の中心地のひとつであり、強大なハプスブルク帝国の本拠地として文化的洗練がなされ、それは現代にあってもオーストリアのすべての側面に継承されていること。ゆえにオーストリアワインは、ある意味地酒であっても、朴訥な田舎ワインではなく、極めて洗練された味を備えていること。他人の目とおしゃれそれ自体を意識しておしゃれになっているのではなく、普通がそのままおしゃれだということ。

 セミナーへの反応は、というと、これが大変におもしろいことに、「今まで参加したワインセミナーの中で一番心にぐっときた」という方もいらっしゃれば、「ひどい話で、もうオーストリアワインを飲みたくなくなった」という方まで。私の話はいつもそうです。好きな人はとても好き、嫌いな人は嫌い、です。それだけ自分自身をさらけ出しているということです。おほめの言葉はありがたいですが、どこがどうして「オーストリアワインを飲みたくなくなった」のかを特に知りたいものです。その方にとってのオーストリアワインが、自分にとってのオーストリアワインと異なるものなら、それはしかたありません。私は私が思わないことを話すことはできません。できたなら嘘つきになってしまいます。大事なのは個々人が主体的に独自の視点や認識の枠組みをもつことです。私の話など絶対ではありません。

 私は極力個別論を語らないようにしています。テイスティングしているワインのコメントなどどうでもいいことですし、使用ステンレスタンクのメーカー名と容量も、オーストリアワイン全体の本質規定とは関係ありません。もちろん、生産本数が何本で、輸出先は何か国で、といった個別の事実を語っていれば、事実にいいも悪いもないのですから、聞いてくださる方は価値判断的美意識的な反応はしません。そんなデータをメモしていても、あとからなんの役にたつのか。私はそれがいいとは思えません。なぜならワインは価値判断的美意識的な反応をすべきものだと思うからです。価値観を共有し、美意識を理解する人たちが、そのワインを売り、買うべきです。そうでなければ、ワインは金額という形で平準化されるだけの、単なる物です。

 イベントが終わったあと、関係者と、ある高級なワインバーに行きました。そこはオーストリアワインを扱っています。何を提供しているのかを尋ねると、ヴァッハウのスマラクトや、ワイン・アドヴォケイトが高得点をつける、超高価な、遅摘みブドウで造る高アルコールの辛口リースリング。「オーストリアワインの頂点を見せれば、そこから下に降りてきて客層が広がる」とおっしゃっていました。確かに他の国のワインに対しては有効な手段です。ベガ・シシリアがあるからリベラ・デル・デュエロがあり、モンフォルティーノがあるからバローロがある。しかしそれはオーストリアにふさわしい戦略ではないと思います。そしてせっかくオーストリアワインに興味をもっていただいた方に、間違ったイメージを与えてしまう。モンラッシェがあるからピュリニー村名があり、前者の威光によって後者に価値が付与されて、ありがたくおいしく飲む、というワイン評価・鑑賞の一般的な方法を、私は問題視しているのです。そのような縦の序列でワインを見るのは極めてフランス的です。しかしヴァッハウのスマラクトのリースリングのありがたいブランド価値を下におろしてきたところに、ホイリゲのゲミシュター・サッツの消費意味があるわけではない。ここまで読まれてきた方なら、この点に同意をいただけるでしょう。そうだとしたら、オーストリアワインの大切な点をしっかり理解されたということです。

 

 ところで来年は久しぶりにオーストリアワイン大使コンテストが行われます。意図するところは、ワイン業界、飲食業界に従事し、オーストリアワインに関心を持っている方、また貢献があった方へのサポート体制です。試飲会やセミナーに参加していただいた方々には是非応募していただきたいと思います。将来にわたって、オーストリアワイン大使の方々には、オーストリア本国サイドからサポートがあるはずです。

 オーストリアワイン大使コンテストほど楽なコンテストはありません。バカみたいに簡単な問題です。しかし問うているのはワインの蘊蓄ではありません。ここが重要です。オーストリア、そしてオーストリアワインへの愛情、情熱、主体的な関与、日ごろどれだけオーストリアワインについて考えているのか、を問うているだけです。その点で嘘をついてもバレるものです。バレるような問題が出るからです。

 例えばヴァッハウについての問題が出るとします。ヴァッハウのフェーダーシュピールの最高アルコール度数、みたいな質問はありません。ヴァッハウ渓谷の文化的景観は世界遺産です。ヴァッハウに興味があるなら、文化的景観を構成する重要なものについて少しは知っているはず。だから以前の質問は、「ヴァッハウで有名な果物はブドウ以外になんでしょう」だったわけです。1996年にEUの原産地呼称となったヴァッハウのアプリコットは有名です。紀州の梅、岡山のマスカットみたいに有名です。オーストリアに興味があれば常識、そうではないワイン蘊蓄マニアには分からないだけです。簡単でしょう?

 

« 南チリのワイン at 薩摩焼肉 黒桜 | トップページ | ブルゴーニュ ドメーヌ・コンフュロン・コトティド »

ワインセミナー」カテゴリの記事