« ピーロート ワールドワインフェスティバルでのセミナー | トップページ | ワイン&グルメでのヴィーニョ・ヴェルデ »

2018.04.11

ヴィーニョ・ヴェルデ

 ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ協会(Comissão de Viticultura da Região dos Vinhos Verdes)より26の生産者が来日し、品川のザ・ランドマークスクエア・トーキョーでセミナーと試飲会を開催。ありがたくご案内をいただいたので、参加してきました。
 最近はヴィーニョ・ヴェルデの名前をよく聞きます。スペインのリアス・バイシャスはここ数年のブームですが、ヴィーニョ・ヴェルデはスペイン・ポルトガル国境のMinho川をはさんで隣接する産地。1200ミリという高い年間降水量と花崗岩土壌が生み出す白ワインの味わいは、リアス・バイシャスとも当然ながら似ています。しかしリアス・バイシャスのほうがメリハリがあって力強い印象。全体にヴィーニョ・ヴェルデはよりソフトでさらっとしていると思います。

Dsc05909


 セミナーでは講師を務められた佐藤さんが、ヴィーニョ・ヴェルデと甲州の相似性について多く語られていました。温暖湿潤気候ですし、山梨も花崗岩がありますし、同じく棚仕立てですから。今は甲州品種ワインの大ブーム。...ヴィーニョ・ヴェルデを甲州と同じテイスト・プロフィールのワインとして認識させることは、ヴィーニョ・ヴェルデにとって有効な戦略でしょう。個人的には甲州とヴィーニョ・ヴェルデがそこまで似た味だとは感じられませんし、飲む動機が同じとも思えません。セミナーのパネルを務めていたひとりの生産者に佐藤さんが甲州との相似性についてどう思うかと聞いたら、ヴィーニョ・ヴェルデのほうがいい、レベルの違うワインだ、と、素直な答えでした。
 ヴィーニョ・ヴェルデは21000ヘクタールもある広大な産地です。その中に9つのサブ・リージョンがあります。それを4つにまとめると、北部のモンサオ&メルガノ地域(アルバリーニョ品種のエリア)、中部のリマ川・,カヴィド川・アヴ川地域(ロウレイロ品種)、東部のバシュト地域(アザール品種)、南部のドウロ川周辺地域(アヴェッソ品種)。土壌はドウロ川方面はシストですが、大半は花崗岩。ヴィーニョ・ヴェルデの認可品種は45品種もあり、製法は相当程度自由ですから、多様な味のワインが出来ます。それは分かっていますが、何かまともな意見を言うことはまだまだできません。ハードルが高いです。いつかヴィーニョ・ヴェルデに行ったら、少しは役に立つ話ができるかも知れません。


 Dsc05914

Dsc05915_2

 ヴィーニョ・ヴェルデは白が生産の86%、赤が9%、ロゼが6%(2015年度)。圧倒的に白ワイン。当然白産地として訴求されていますが、実は私はロゼのほうが好きです。赤はあれこれコメントできる数を飲んでいないものの、よさそうです。理由は明確で、概して白よりロゼのほうが余韻が長くて複雑だからです。ロゼの多くには若干の残糖がありますが、それもまた酸の強さとバランスしていていいと思います。どれもなかなかおいしかったのですが、試飲した中で気に入ったものは写真のワインです。
 Dsc05911


スパークリングは可能性がなかなか高いと思います。アヴェッソは素晴らしい発泡用品種に思えます。価格を思えば、カヴァに続いて、お買い得価格の泡として人気が出てしかるべきでしょう。
 残念ながら白ワインの多くは早摘みの味がして、“スタイル”のワインになっていると思います。どれもこれも重心が高くて小さい。そしてステンレスタンク臭い。これが本当の味だとは思えません。
 ヴィーニョ・ヴェルデの白はシーフード料理用のワインだと訴求されています。そこで生産者にどんなシーフードを食べるのか聞くと、鯛、イワシ、サバ、マグロ、ハタ、スズキ、海老、イカ、タコ。重心が高いワインが合う魚もあれば、そうではない魚もある。ところがどのヴィーニョ・ヴェルデの白ワインも重心が高ければ、もちろん合わない魚が多く出てくる。是非重心の低いワインも造ってほしい。魚=フレッシュ、クリスプ、レモニー、低アルコールのワイン、と思うくせ(世界中で見られます)はよくないと思います。魚の味はそんなにやわなものではありません!ですから試飲会では、脂ののったしっかりした味の魚に向くワインを探していました。写真のQuinta das ArcusのTrajadura品種の樽発酵ワインが気に入りました。これは普通のすっきりさっぱり系ヴィーニョ・ヴェルデではありません。ずっと密度が高く、余韻も長く、重心が真ん中にあります。生産者も「うちのワインは例外」と言っていました。土壌もシストですから、確かに例外。トラジャドゥーラ品種もフルーティさを担う補助的役割で酸がない品種だから、これ単一のワインというのも例外。とはいえ、品質の上からすれば、こういうワインがもっと増えて欲しいものです。
 Dsc05910

 ヴィーニョ・ヴェルデは緩くて(砂っぽい)柔らかくて肩肘張らないワインですから、日常の食卓に向くというのは分かります。それでも内面的なエネルギー感、立体感、余韻に関してはもう少し向上させていかないと、料理を受け止められません。しつこいようですが、刺身だろうが煮魚だろうが、料理というのは、特に日本の素晴らしい魚の料理というものは、ヴィーニョ・ヴェルデよりエネルギー感があり、立体的で、余韻が長いからです。

« ピーロート ワールドワインフェスティバルでのセミナー | トップページ | ワイン&グルメでのヴィーニョ・ヴェルデ »

試飲会等」カテゴリの記事