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2018.07.17

Liszt, Leithaberg

 2004年にウィーン少年合唱団の一員として日本に行ったことがあるというベルンハルト・リストさんのホイリゲ。ニーダーエステライヒ州からブルゲンラント州に入ったところ、Leithaprodersdorfという小さな村の裏にあり、見つけるのにも苦労する場所。ところが1日350人ものお客さんで賑わう人気の店です。

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▲上写真の左奥の建物がホイリゲ・リスト。これは分かりにくい!右は建築中のワイナリー。中と下の写真はホイリゲの内部。

 2015年にオーガニックを始め、2017年に認証取得。ワインがオーガニックなのは当然として、小麦や豚も自分でオーガニック栽培・飼育し、店でパンやハムにして提供。日本に輸出していませんし、そもそも自分の店用のワインですから輸出は5%のみ。地産地消の本物のオーストリアワインです。
 オーストリアは基本的にどこでも安いワインのレベルが高い。1リットル瓶のホイリゲ用グリューナーのレベルの高さには驚きます。つまり土地じたいのポテンシャルはどこでも高く、樽とかにお金をかけずにストレートに造れば十分なのです。他には、これもいつも通りに、ウェルシュリースリングの飾らない味と強いミネラル感と余韻に至るまでの乱れのないタイトさが印象的。ブルゲンラントらしい骨太感や厚みもあります。亜硫酸無添加のナチュラリスト・シリーズもセンスのよい味。中では3日間スキンコンタクトしたのち樽発酵のヴァイスブルグンダーがおすすめです。ゆったりしたパワー感と厚みのある質感があり、肉料理に合うでしょう。

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▲当主、ベルンハルト・リストさん。


 それにしても自家製ラルドのピュアで涼しげな味にはびっくり。脂肪そのものなのになんでこんなにスッキリしているのか!一頭あたり800平方メートルという広い土地で飼育される、放し飼い状態の豚。2年も飼育して体重250キロまで大きくします。普通に日本で売っている豚肉は半年飼育、110キロ程度ですから、彼らの豚には時間とお金もかかっています。ワインはむろん、この豚肉を食べるためだけでもリストに行く価値はあります。パンもまた見事で、噛むほどに味が出てきます。オーストリアのオーガニック食文化の高いレベルを感じるワイナリーです。

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▲田舎の小村のレストランなのに、店内もラベルデザインもあか抜けている。オーストリア全体としての文化的洗練度の高さには感嘆させられる。

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▲ホイリゲの中にある畑の土壌の断面モデル。下層に石灰質があるのがライタベルクらしく、これがキリッと引き締まった酸とミネラルをもたらす。


 おいしいワインとおいしい料理を出す店なら世界じゅうに何百万とあります。しかしオーストリアのホイリゲは、両者を同一の思想・美意識・感性をもって自分で作るところが、普通のレストランと根本的に異なる点なのです。日本の飲食店の方々もオーストリアに行けば学ぶことが多いはずです。評価本高得点の高価格のワインを飲んだだけで「オーストリアワインはもう分かった」と言っている方々に会ったことがあります。そして「たいしたことがないから、もういいや」と。それではオーストリアワインに対するスタンスが根本的にずれている。ボルドー1級とブルゴーニュ特級のグレートヴィンテージを飲んで「フランスワインが分かった」と思うのはあながち間違った方向性ではありませんが、オーストリアや東欧のワインに関しては絶対に間違いです。しかし日本ではフランス式のワイン観というか、上から攻める、上が分かれば下も自動的に分かる、といった方法論が優勢なようですから(だからいつまでたっても高級ブランド志向)、私がオーストリアワインに関して常々言っている、1リットル瓶のほうがおいしい、という表現はなかなか理解されません。田中さんはB級グルメですね、とか、田中さんと同じく私も安旨ワインが好きです、とか言われたことがあるのですが、自分では何か違和感が、、、、。

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