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2018.07.18

Menhard, Sud-Steiermark

 数年前にオーストリアワイン大使ツアーで引率して行った以来のメンハルト。私はここのワインが大好きです。ズュートシュタイヤーマルクのワインシュトラッセから外れた場所にある隠れ家ワイナリー&民宿。見ての通り、素晴らしい自然環境に囲まれています。もちろん栽培はオーガニック。ここでワインを飲んでまずいわけがない!

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▲自然に囲まれた楽園、メンハルトでの宿泊は最上のバカンスとなるはず。


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▲メンハルト夫妻と共にテイスティング。彼らは自分たちのワインについてほとんど語らない。しかしワインは極めて雄弁。




 ズュートシュタイヤーマルクにはいろいろな品種が植えられています。しかしどの品種でも成功するわけではありません。ピノ・ブランやシャルドネ(モリヨン)はいまひとつ。テロワールと品種が合っていないぎこちなさがあります。ソーヴィニヨンは悪くありませんが、まだほぐれません。メンハルトでも、他の多くのワイナリーと同じく、ウェルシュリースリングとムスカテラーが最高です。しっとり、すっきりして、抜けがよく、かつ適度なボディ感もあり、いかにも降水量が多く気温が低く急斜面でポンカ土壌(マルヌ)のシュタイヤーマルクらしい味です。

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▲スティリアはいろいろな品種が成功する土地。ソーヴィニヨン・ブランばかり見ていてはいけない。個人的には、ワイナリーを問わず最も安定して美味しいのは、ムスカテラーとウェルシュリースリングだと思う。メンハルトでも同じ。メンハルトではそれらに加えてアメリカ品種のイザベラが素晴らしい出来。最もストレートなエネルギー感と、屈託のないナチュラル感がある。

 個人的に一番好きなのはイザベラ品種のスパークリング・ロゼ。炭酸ガス注入の微甘口。ワイン通にはバカにされそうですが、これがいい。イザベラはラブルスカ系品種ですから、コンコード等と同じく、あの食用ブドウの風味があります。西洋だとワインはヴィティス・ヴィニフェラでなければならないという思い込みが強いので、ヴィティス・ラブルスカの独特の風味は拒絶されてしまいますが、日本人には抵抗がないものです。オーストリアではアイゼンベルクのエリアでわずかに植えられ、ウードラーというワイン(濃い色のロゼ)になるので、西洋諸国の中では珍しくラブルスカが認められています。しかしシュタイヤーマルクでは認可されていません。だからこのロゼも昔はイザベラ・フリッツァンテという名前でしたが、品種名を表記することはもはやできず、ロゼ・フリッツァンテという名前に数年前に変更されました。ラブルスカ引き抜き令は有効ですから、メンハルトでは、政府機関に見つからないよう、他の品種の中に隠して植えてあったり、駐車場の日陰を作るためのブドウ棚にしたりしています。ブドウ棚なら観賞用として見逃してくれるからです。

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▲駐車場の日よけとしても機能している棚づくりのイザベラ。このワインを飲むと、栽培適地とはなんなのか、よいワインとはなにか、考え直すことになる。


 イザベラは病害に大変に強い品種で、何もせずとも育って健康な実を沢山つけるそうです。それのどこがいけないのか。病気になるのは、本来そこに生育したくないからでしょう。硫黄や銅を散布しなくて済むので、ワインはヴィティス・ヴィニフェラ品種のワインよりのびのびとしてポジティブな味がします。生命力が強いといった印象。ラブルスカ=フォクシーフレーバー=ダメ=引き抜きといった単純な価値観からは、このワインの素晴らしさが理解できないでしょう。

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