« ジャパン・ワイン・チャレンジ・ディナー | トップページ | Moschioni, Friuli Venezia Giulia »

2018.08.09

サントネイ

Photo_4

 誰かサントネイの味わいが欲しくてサントネイを買う人がいるか。ほとんどいないでしょうね。これを読まれている方の中に筋金入りのサントネイファンがいらっしゃったら、是非メッセージをいただきたいぐらいです。
 サントネイの所有者は同時にシャサーニュの所有者でもある場合が多い。これが問題です。多くの人はモンラッシェの威光が欲しい。モンラッシェの半分はシャサーニュにある。おかげでシャサーニュの白ワインはブランド化している。そのブランドをかさに着た消費が一般的だから、シャサーニュが欲しい。しかし概してインポーターがブルゴーニュで契約するときはドメーヌでつまみ食いはできず(つまりシャサーニュの白だけくださいというわけにはいかず)、生産ワインははいろいろ買うしかないので、欲しくなくともサントネイが付いてくる。だから日本で見かけるサントネイはどれもシャサーニュの生産者のものばかりです。サントネイ村に住む生...産者のサントネイのワインは見かけない。しかしサントネイが好きならば、常識的にはサントネイの人が造るサントネイを買うものでしょう。ちなみに某大輸入元で、「私は最近サントネイやマランジェが好き」と言ったら、「まったく売れません」と。ふーむ。
 デからシェイイ・レ・マランジェまで、コート・ドールの村々はそれぞれ素晴らしい個性のあるワインを造ります。ペルナンはペルナンの味がするし、ボーヌはボーヌの味がするし、ペルナンはボーヌにはなりえません。当然、ブルゴーニュファンならば、それぞれの個性を愛でる視点を獲得し、その美点をより味わう文脈を作ることが要求されているわけです。それは人間であれワインであれ同じスタンスでなければなりません。好き嫌いではなく、倫理道徳の基本です。
 3月にマランジェのドメーヌに泊まっていて夜はマランジェとサントネイの違い等について生産者の方々と語り合っていました。彼らが言うには、サントネイはタンニンがない、と。その通りです。サントネイはストラクチャー型の味ではありません。マランジェがごついナマなパワー感のあるワインなら、サントネイはこまやかなフルーティさが取り柄です。ソフトな料理、気取らない料理、酸や脂肪が少ない料理にぴったりなワインがサントネイです。
 とはいえ、サントネイを構成するふたつの丘のうち、マランジェに近いほうの味は、やはりマランジェ的な筋っぽさやスパイシーさがあります。こちらの丘の一級は土壌的にもマランジェと連続したバジョシアンですから味が暗い。しかしシャサーニュ側はまったく違います。一級の畑は地質年代の新しいポートランディアンの上にあります。はつらつとして若々しい味です。このポートランディアンの一級の分かりやすいおいしさと滑らかさは、コート・ドールの中でも珍しい存在です。新世界ピノの素直にチャーミングな赤系フルーティさが好きな人には特におすすめしたいブルゴーニュです。
 最上の畑は、言うまでもないことかも知れませんが、1860年の格付けでサントネイ一級に選ばれた畑、グラヴィエールです。現在の他の一級は昔は二級以下です。ちなみに当時のグラヴィエールはクロ・ド・タヴァンヌを含んでいます。明らかにグラヴィエールだけが抜けのよさと姿形のきれいさ、気品において一歩抜きんでていると思います。INAO的には、グラヴィエールは昔から素晴らしい最高の畑、グラヴィエールはポートランディアン、ならばポートランディアンの斜面の畑はみな一級、というロジックなのかも知れませんが、ワインはそう簡単ではありませんね。


 

 

« ジャパン・ワイン・チャレンジ・ディナー | トップページ | Moschioni, Friuli Venezia Giulia »

日本橋浜町ワインサロン講座」カテゴリの記事