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2018.09.30

初心者講座 ピノ・ノワール

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 日本橋浜町ワインサロンにて、ワイン初心者に向けた入門講座の二回目を9月30日に行いました。初回はカベルネ・ソーヴィニヨンでしたが、今回のテーマはピノ・ノワール。人気の高い品種ですし、どの店にもありますから、ピノとはどういう個性なのかを知っておくことは役に立ちます。
 本当は、ピノはそんなに人気になるべきでもなければ、初心者向けでもありまえん。打率の低さとコストパフォーマンスの悪さでは世界最高(最低というべきか)だと思います。それ以上に、食卓ではあまり役に立たない。なぜなら、今回のようにいろいろなピノ・ノワールを飲めば分かるとおり、多くのワインが水平的で重心が高いからです。それでは料理との相性が限定されるだけでなく、ピンポイントで合わせないといけなくなるからです。
 ピノ・ノワールのワインがすべて水平的で重心が高いわけではありません。ラ・ターシュはどうだ、シャンベルタンはどうだ、と言われてしまえば、確かに前者は常に垂直的でしょうし、後者のほとんどは重心が真ん中でしょう。そこがむしろ問題なのです。よほどのワインでなければそうはならないのが普通。ピノ・ノワールはよい品種というより、よい土地か否かを判定することに長けた品種です。だから初心者や一般消費者にとっては役立ち度が低いのです。
 写真のワインをブラインドでテイスティングしました。多くの方が気に入っていたのは、そして私もいしたものだと思ったのは、マーガレット・リバーのピエロ。ボリューム感があり、大きく、下方垂直性があり、余韻が長い。そしてアルザス。複雑で立体感があり、料理との接点が多い味。単体で飲んだら決してエレガントとは言われない、典型的なドイツ系のアーシーでスパイシーな風味ですが、一般的にピノ的と言われるクリアーでピュアな風味(奥利根のものがその端的な例、よくここまで、と感心する)だけではないピノの魅力は、ドイツやアルザスのワインを飲むと理解できます。
 どれが新世界でどれが旧世界ですか、という質問の答えが大変に興味深い。多数決の結果、新世界だと思った方が多かったのは、日本、ニュージーランド、アルザス、イギリス、マルケ、マーガレット・リバーでした。ブルゴーニュのワインを新世界と思われた方が相当するおられたのがおもしろい。その意味は分かります。ブルゴーニュは相当程度、幻想の中に生きています。他ワインの十倍の価格のグラン・クリュではなく、他と価格を揃えて村名ワインで比較すれば、多くのブルゴーニュは案外と余韻が短く小さく単調なものです。そして相当にモダンな味がするものです。多くの方が旧世界だと思われたのはドイツ。つまり、最もフルーティタイプの逆。皆さんが何をもって旧世界と考えるのかが分かります。
 個人的に最も印象的だったのはイギリスのワイン。最も垂直的で、最もミネラリーで、最も余韻が長い。これを多くの人がブルゴーニュだと思っていました。最上のものがブルゴーニュであるというイメージを作っているのがすごいマーケティングです。そこから自由になり、公平な視点とぶれない判断基準を獲得しないと、ワインはおもしろくなりません。
 初心者講座というと、すぐに有名高価ブランドの名前を出したがるのは最低の行為です。みなそんなにロマネ・コンティやラフィットばかり飲むのか。日常の暮らしをワインをもって豊かにするためには、名詞を覚えることから初めてはいけない。ワインの見方、とらえ方から固めていかないと、一生、名詞とお金にふりまわされることになります。

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