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2018.09.08

Toros, Friuli=Venezia Giulia

 しっかりしたボディのフリウラーノの生産者として、トロスは覚えておくべき名前だ。新樽熟成ワインが15%ブレンドされるのがいい。基本的にはクリーンでクリアーな味わいに適度なアクセントを加えるだけではなく、コッリオの平地から緩斜面の畑らしいおおらかさを強めてくれる。10ヘクタールの畑から年間6万本生産されるうち、フリウラーノは2万5千本を占める。この品種をメインに据えるのは正しい。なめらかで厚みがあり、リッチでいて垂直な芯をきちんと備え、上に放散されるエネルギーを感じる、表現力豊かなフリウラーノ2017。壁にはトレビッキエーリの賞状が並ぶ。当然だと思う。

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▲フランコ・トロスと娘、クリスチアーナ。

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▲たくさんのトレビッキエーリの賞状が壁を飾る。



 当主フランコの娘でコマーシャル担当のクリスティーナによれば、「コッリオは白の産地。オリエンターリは赤の産地」とのこと。高いアルコールとクリーミーな質感とメリハリのある酸が印象的なリボッラ・ジャッラや、シリアスな構造とエレガントな佇まいのあるピノ・ビアンコも上質だ。興味深いのはソーヴィニヨンで、いかにもこの品種らしい垂直性や酸のビビッドさは健在ながら、いかにもソーヴィニヨンな香りやエッジ感という品種の個性より、とろりとリッチなコッリオという土地の個性のほうが上回っている。多くの品種をこれだけ均一に高いレベルで仕上げる技には感心させられる。

トロスのワインに特徴的なのは、中心密度の高さや腰の据わりやミネラルの緻密さである。「コッリオの最大収量はヘクタール当たり110キンタルだが、うちでは50から60」。つまりはブルゴーニュ1級から特級と同じ。本来ならそうでなければならない。

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▲発酵はステンレスタンクで。



 ところがピノ・グリージョは同じ生産者の作品とは思えないほどつらない味で、薄く、軽く、短い。「いまはイタリアではピノ・グリージョが増えている」と言うが、彼らがこの品種を好んでいるとは思えない。ある巨大生産者の名前を挙げて、「彼らが大量生産してアメリカにたくさん売って人気になった」と。この品種の白ワイン(ロゼというかオレンジワインはおいしいが)には、トロスであれどこであれ、注意したほうがいい。世の中にいかにフリウリのピノ・グリージョが溢れようと、だ。

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▲トロスのワインに共通する、どこにも凹凸・破綻を見せないバランス感と品位の高さは、高級レストランにもぴったりだ。しかしスタイル優先でなく、どのワインもきちんとコッリオの味がする。フランコは上手なワインメーカーだとつくづく思う。


 樹齢65年の木からたった千本だけ造られるメルロ・レゼルバ2013年の出来がこれほどまでとは知りようもなかった。なめらかでクリーミーな厚みはいかにもコッリオであるし、またメルロに期待したい特徴。白と比べると性格が異なり、分かりやすい積極性ではなく、内面に沈降するような陰影を備えつつ、華やぎを忘れない、絶妙のバランスが魅力の中心となる。メルロにとっては涼しい産地なのか、若干のミント風味もあるが、それがまた上品。降水量の多いフリウリならではのしっとり感や柔らかく起毛したかのようなタンニンの質感も好ましく、イタリアのメルロにありがちな果皮が焦げたかのようなスパイシーさや苦みやエッジとは無縁。アメリカ&スーパータスカン的なぐいぐいと押すようなメルロではなく、古典ヨーロッパな引きが美しいメルロを求めるならこれだ。

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