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2018.10.19

アルメニア

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ジョージアワインを知っていればなおさらショック。隣の国で、同じコーカサス地域に分類されるのに、ワインの性格は完全に異なります。

    比較的重い土で石灰もある、標高低めのジョージア。軽い火山性の土で、標高の高いアルメニア。それだけではありません。民族性や文化の違いも感じられるのです。以前ジョージアの人が、ジョージアは武士でアルメニアは商人と言っていました。アルメニアは確かに商人国家としてペルシャとトルコの間で生きながらえてきました。イスラムの大国の只中にあるキリスト教の小国がアイデンティティを保ち続けるためには、大国にとっての存在価値がなければなりません。それが商いに長けたアルメニア人がもたらす商業利潤だったのです。というわけで、ジョージアが北京料理的味ならアルメニアは広東料理的味です。人の顔つきもそういう感じです。厳しいジョージア人に対して可愛いアルメニア人です。
    そしてジョージア語は他の言語との関係が不明な独自の言語なのに対してアルメニア語はインドヨーロッパ語族。だからアルメニアワインはオリエンタルな味がしません。確実にヨーロッパワインの味です。東方からの遊牧民起源を感じるブルガリア以上に、ヨーロッパです。地理ではなく味わいとしては、ジョージアとアルメニアをコーカサスワインとして一括りにしてはいけないのだ、と、御参加の方々は理解されたようです。
     アレニ・ノワール、特に道端で買ったワインの美味しさは圧巻です。家庭醸造のペットボトルワインだというのに恐るべきレベル。ちゃんとしたワイナリーの高価な瓶詰めワインより遥かにエネルギーがあります。
    ワインアカデミーで「好きなアルメニアワインは何か?」と聞かれ、「アレニの道端ワイン」と答えました。嘘でしょう!という顔をされました。「あれが外国人に評価されるワインだと思いますか?」、と。私は「もちろんです。あれが評価されないならアルメニアのPR不足が問題なのであってワインの問題ではない」。西欧におもねったワインなどいりません。皆がそう自信を持って言えるようになればいいのですが。
    最後はアルメニアン・コニャック。エレバンのヒンカリ屋で飲んだものと同じ、オトボルヌイ。参加された方々揃って大絶賛でした。アルコールっぽくなく、ちゃんと果実の香り味がします。粘り、厚み、腰の座りは、最初の二本の白ワインと同じ、典型的アルメニア白ブドウの個性。ブドウの多くは自根なはずなので、下方垂直性が顕著で、それが西欧のブランデーに対する大きな優位点になっています。私は蒸留酒を日頃口にしませんが、私でもついつい飲んでしまうほど美味しい。旧ソ連時代には共産圏のブランデーの供給源だったアルメニアの技術的蓄積を感じる完成度です。

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