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2018.10.24

ヴォルネイ

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 久しぶりにヴォルネイ。以前のモンテリーの続きとして見ていただくと、隣りの村でもどれだけ違うのかがよく分かります。
 ヴォルネイは小さい村で、他の多くの村よりもキャラクターの統一性があります。モンテリーのように、ヴォルネイ側とオーセイ側と違いすぎてわけがわからない、ということはありません。ではそのキャラクターとは何かということを、ブラインドテイスティングを通して探求しました。
 興味深かったのは、この5本のうち、ヴォルネイ村にドメーヌがない一軒のワインだけが、まったく個性が異なっていたことです。「どこの村だと思いますか」と聞くと、「明らかにコート・ド・ニュイ」、「ブロションかな」と。私もジュヴレっぽいと思いました。そしてそのドメーヌはジュヴレ村にあります。どう解釈すればいいのか。その村の地付き酵母の味なのか、それとも造りての頭にある理想の味がジュヴレであって、そのイメージが転写されたり、無意識にもそう造ってしまうのか。このような経験は何度もあります。そのドメーヌの中で比較するなら確かにヴォルネイはヴォルネイらしいのに、ヴォルネイ村の生産者のワインと横並びにしてしまうと異質感が目立つ。ネゴシアンのワインよりもドメーヌのワインのほうがいい、という意見の背景には、このような事態があるのではないか。ところが昔と異なり、今ではどの村にドメーヌがあろうといろいろな村の畑を所有していますから、これはネゴシアン対ドメーヌの話というより、ワインのアペラシオンの村と蔵の所在地が同じか否かの話なのです。
 私個人としてはモンティーユのミタンが一番好きでした。ビオディナミ栽培のエネルギー感と全房発酵独特の複雑性。モンティーユの知的な冷たい味は必ずしも好きではないとはいえ、そして涼しい年には茎っぽさが目立つとはいえ、09年のような暑い年にはちょうどいい。そもそもヴォルネイは暑い年でも決して暑苦しくならないのがいい。
 ミタンはマイナーな畑です。しかし、現在の格付けよりもむしろ信用できると思う1860年の格付け(1級、2級、3級に分かれる)ではミタンは1級。クロ・ド・シェーヌやブルイヤールは2級です。その違いは立体感や複雑性に出ていると思います。
 マルキ・ダンジェルヴィーユのフルミエは、よく言えば陰影感の濃さ、悪く言えばごちゃごちゃ感があり、好き嫌いが分かれるところです。十年以上熟成させても樽が目立つのもマイナス。しかし存在感の強さ、威厳は素晴らしい。05年というヴィンテージゆえでもあるでしょうが、骨格の確かさは傑出していました。
 私は昔は明らかに谷の南側の畑(シャンパンやタイユピエやクロ・ド・シェーヌやカイユレといった有名な畑が並びます)のワインのほうが好きでした。よりタンニンが細かくしなやかな質感だと思います。しかし最近はミタンやシャンランやフルミエのように谷の北側の畑のよさが分かるようになりました。ポマールに接しているこちら側のワインはよりスパイシーでタンニンに頑丈さがあり、逞しい。きれいごとにならない骨太感や土着的なパワー感や陰影感がいい。昔は奈良漬けのおいしさが分からなかったようなものです。経験を積むと、違う見方ができてくるもの。だからこうした比較テイスティングは楽しいのです。
 ちなみに食事は揚げカオマンガイでした。これがポマール側のヴォルネイとぴったり。さらっとしたローストチキンならムルソー側のヴォルネイが合うでしょう。いずれにせよ、ヴォルネイと鶏は絶対外さない相性です。
 

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