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2018.11.06

ラングドックワインセミナー

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11月日、明治記念館でラングドックワインの試飲会とセミナーが行われました。
 
ラングドックワイン委員会代表による総括的プレゼンと情野ソムリエによる8本のワインのテイスティングの後、十分ほど時間をもらって私もラングドックワインについて喋りました。最初はそんな予定はありませんでしたが、飛び入りです。
 
一応マスタークラスのはず。しかし実際のレベルは高校生だというのはわかっています。マスタークラスレベルというのはサンサチュルナンとサンジョルジュドルクの違いが分かるといったことでしょうが、そんな話が出来るようになるのはいつのことか。基本が分からないで第三紀の石灰岩がああだこうだと言っても仕方ない。というわけで、私は、「ラングドックワインのほとんどは赤。赤のほとんどはシラー、グルナッシュ、カリニャンないしムールヴェードルのブレンド。それらは譬えて言うなら、トスカーナのボルドーブレンドみたいなものだ」と言いました。「普通ラングドックというと、南ローヌとの連続性で捉えてしまう。ラングドックの地図だけ見るとそうなるのは仕方ない。しかしもう少し広い地図を見ると、ボルドー、スッドウエスト、ラングドックのマルペールとカバルデスの連続性がわかる。ところが日本ではマルペールとカバルデスが完全に忘れられており、それがラングドックのワインの理解を妨げ、ボルドーとの親近性を気付かなくさせる理由だ。ラングドックは基本的にボルドーと同じく芯がある四角いワインで、南ローヌのようにソフトな丸いワインではない」。
 
ラングドックは多様性のある産地。皆さんそう言いますが、それは南西もロワールも同じ。そう言ったところでラングドックワインの本質は分からず、どう使っていいか分からない。まずは乱暴かも知れないがザックリと特徴を掴む必要があります。各論より前に総論が必要なのはなんでも同じです。今回は無理矢理乱入して短時間だけ喋らせて頂きましたが、いつかしっかりみなさんにラングドックワインについて解説出来れば、と思います。
 
最後にラングドックワイン委員会の方が、「田中さんが一番好きなラングドックのアペラシオンは?」と聞くので、「クレーレット・デュ・ラングドック」。「誰か飲んだことある人はいますか?」とセミナーにご参加の方に聞くと、誰もいない。まだまだそんなものです。アディサン・ランシオの素晴らしさを皆さんと語り合えるようになりたい!私としては、ランシオなきラングドックはフロールなきジュラと同じ。確かにマイナーかも知れないが、これを忘れてはもぐりですし、もしそれが好きではないと言うなら、ラングドックワインファンとは呼び難い。ラングドックワインを飲めば飲むほど、その思いが強くなります。しかし日本には輸入されません。たぶん、ラングドックワインと聞いて私がイメージするものと、世の中ほぼすべての人がイメージするものとでは、相当な乖離があるでしょう。
ラングドックワインサイドとしては、ペイ・ドック、つまり単一国際品種ワイン産地という日本の消費者の観念を打破したい。より高価格ワインを訴求したい。ですから一生懸命クリュにフォーカスしているわけです。しかしクリュ・ラングドック(つまりテラス・デュ・ラルザックやラ・クラープ等)は日本ではなかなか理解されず、受容されません。ここをどう考えるのか。純粋にワインの品質を見れば、クリュでも4000円以内のワインが多いラングドックは、ヴィラージュ1万円のブルゴーニュより、はるかにお買い得です。しかし皆、本当に「純粋にワインの品質を見」ているのか。有名なもの、高価なものの威を借りてばかりのような気がします。先日ある安価なワインを揃えている店に行ったら、あるワインのPOPに、シャトー・マルゴーと並んで高く評価されるシャトー・パルメのオーナーが作ったボルドー、と書いてありました。それがどういう味なのかは二の次です。そもそもその店で買い物をする人にとって、シャトー・マルゴーだろうがシャトー・パルメだろうが関係ないはず。その意味を読んで分かることを前提とする店サイドもひどい。どんな意味でもひどい。そしてそれに消費者が反応するなら、いかに日本中ブランド志向なのか、ワイン消費=名詞消費なのか、をよく物語っています。そういう状況では、有名なもの、高価なものの威を借りることができないラングドックは売れないでしょう。
ラングドックは複雑で難しいと言われますが、20程度のアペラシオンを覚えれば十分。ブルゴーニュならば何百もの畑名とその味を覚えているのが普通ではないですか。だからラングドックに関しては、覚えられないのではなく、覚える気がないだけです。気がない人には何を言ってもしかたない。ただ、もったいないな、とは思います。アペラシオン名と品種名を覚え、そのキャラクターを大まかにつかんでおきさえすれば、ラングドックは大変にわかりやすく、選びやすい産地です。
 

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