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2019.02.08

モンテリー, Domaine Monthelie-Douhart-Porcheretの五代目当主、カタルディーナ・リポさん来日セミナー

 モンテリーはブルゴーニュの中でも特筆すべきお買い得産地。知っている人は知っています。ブルゴーニュファンを自称していながらモンテリーに関する見識がないならモグリと言われます。ですからカタルディーナ・リポさんの長い日本滞在期間のあいだに行った数々のイベントは相当な盛況だったようす。知らない人は知らないままでいいです。モンテリーまで法外に高くなったらたまったものではありませんね!
 そしてこのドメーヌはモンテリーの中でも最上の一軒。オスピス・ド・ボーヌやルロワの醸造長を務めた名人、アンドレ・ポルシュレのドメーヌだったのですから、技術的洗練度が違います。モンテリーに地酒っぽさを求めるなら他にもたくさんありますが、完成度と上品さを求めるならここです。
 
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▲カタルディーナ・リポさん(右)と、パートナーのヴァンサン・モンフォールさん。モンフォールさんはベルギー人。彼のレストランでリポさんのワインを売っていたことから知り合ったそうだ。
 モンテリーはコート・ドールの村々の中で最大の日照量。ゆえにモンテリー=日照量最大=温かい味と思われがちですが、話はそう単純ではありません。日照量は村の中で計測されます。モンテリーの村は高台の開けた場所に位置しますから、確かに日の出から日の入りまで燦燦と照らされています。他の村より高いので、中世の戦争時にも敵兵の動きがよく見え、防御策を事前にとることができたため、他の村々のように破壊されることがなかったといいます。畑も、ヴォルネイの丘にある1級シャン・フュイヨとかは開けた地形ですが、多くの村名畑が位置する特徴的な南北に延びる狭い谷は、朝の光がないか、すぐに日陰になるか。決して日照が多いわけではありません。
 
 それでもモンテリーの村名白は概して温暖味。特にこのドメーヌは周囲より1週間遅くシャルドネを収穫するそうですから相当にトロピカルだとはいえ、他でもやはり温暖味。譬えて言うならプティ・シャブリの風味にも似ています。谷に堆積している真っ白な石灰の礫を見てもプティ・シャブリに似ていて、どう考えても一般的なコート・ド・ドールのジュラ紀中期の石灰岩ではありません。地形を考えてもオート・コートからの崩落礫なはず。そこを今回聞いてみると、やはりそうで、ジュラ紀後期とのことです。原地性ではないので、畑の土を掘っても岩盤には至らず、どこまでも礫が積もっているそうです。つまりは温かい土壌なわけで、ワインの味がそうなるのも当然です。岩がないので、石灰の風味があるのに構造が柔らかく芯がないという独特の味わいになります。それが個性的でいい。構造という点では新世界的。貴重な存在ですし、マリアージュ的には大変に役に立つのです。モンテリーは最小の村でいて白ブドウの栽培比率は12%しかないので、これこそ知る人ぞ知るワインです。

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▲モンテリー1級レ・デュレスの白ワイン。2016年の超低収量が味わいの凝縮度に反映されている傑作。
 1級レ・デュレスの白は反対に、典型的なコート・ド・ボーヌ。風味はよりレモン的で、酸に硬質さがあり、芯の堅牢さが特徴的。近隣のムルソーに似ているとよく言われますし、その通りですが、ムルソーよりきめ細かくしなやかだと思います。同じ畑の赤も素晴らしく、ヴォルネイ側のようにキメが粗くなく、細かく硬質な要素が隙間なく結合している姿に品があります。誰もがヴォルネイ側は女性的でエレガント、オーセイ側はマッチョと言います。私は反対です。ざっくりとして温かいヴォルネイ側と精緻でタイトなオーセイ側と言うべきです。白赤ともに、大変に優れたブルゴーニュです。他に気に入った赤は、ポマール1級シャンラン。ポマールはよく言われるようなごついワインではありません。特に1級シャンランは標高が高く、ヴォルネイと接している畑ですからすっきりと伸びやか、かつ安定感があります。形のきれいさはさすがポマール。よいテロワールならではの隙のない構成美が感じられます。
 
 今回のヴィンテージは2016年。この年は霜にやられて白の収量は通年の8割減。赤は3割減。ですから白の味わいの凝縮度は桁外れです。2003年のシャンパーニュのブラン・ド・ブランの味と似ていると言えばわかりやすいでしょうか。これほどの凝縮度が味わえる機会はめったにありません。
 
 希望を言うなら、ビオディナミにしてほしい。既に2018年からはHautes Valeurs Environnement認証レベル3。ならばそんなに難しくはないはず。ここなら、カッコつきビオワインではないビオディナミワインが造れるはずです。
 

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