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2019.02.10

日本酒の勉強

沢山の日本酒を試飲しながら、日本酒をいかなる基準で評価すればいいのか思案中。なぜいいのかを表現するための用語を確定していかないと。簡単に言えば、私がワインに対して使ってきた言葉と尺度をそのまま該当させた時に、何か問題が起きるのかを自分で検証しなければいけない。例えば、A という要素があれば美味しい、と仮説を立てるとする。そして実際にいろいろ飲んで。Aという要素がないのに美味しいと思うお酒があったなら、その仮説は修正しなければならない。また、AB二本のお酒があって、Aが美味しいと思う。ではもう一方のBにはなく、Aにはあるものとは何か、と考えていきます。こういった感覚と論理を一致させる努力をしないと、何か言おうにも、まともな日本語にすらなりません。

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美味しかった作品は次の写真のもの。
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ブラインドで飲んでも、いざ蓋を開けてみると、やっぱり兵庫県吉川町特A山田錦だったりする。福井の梵の日本の翼、いかにもそういう味。氷温長期熟成によってパワー感が奥行きや複雑さに転化している印象。社長の高橋さんによれば、梵は90品目もあって杜氏は一年中忙しく酒を造っているそうです。品目数がひたすら増えていくのがどこでも問題だと思います。人間の才能には限界があるので、どれだけひとつに集中することができるかも究極的な品質に関係するはず。それでもこの作品は見事。兵庫県の福智屋の生酛純米大吟醸も堂々たる構えと安定感の中にゆったりとしつつビビッドな酸が絡み合い、香りは穏やかでいて伸びがあってたいしたもの。特A山田錦だけがいいわけではないと先日書いたばかりではないか、と言われそうですが、美味しいものは美味しい。そして地元の米と酵母で発酵したタイプも美味しいものは美味しい。青森県の米、華想いと、青森県の酵母、まほろば吟を使った桃川も、淡々とした中にきちんとした構成力があり、前後感とそれがもたらす空間の広さを感じさせ、さらには中心密度もあるため、品があります。福島県の豊久仁の純米大吟醸は、いかにも五百万石の軽快さとすーっと伸びる香りときめの細かさ。いかにも大吟醸といった趣ですが、香りと味のあいだの一体感に優れ、香りを浮足立たせないだけの足腰の強さがさりげなくあるのが素晴らしく、全体として整った品位があります。どこに美味しい理由があるのか、ずっと考えています。美味しいと思わなかったのが、吟醸と大吟醸。純米大吟醸は面白いことに、いいものはとてもいいし、ダメなものは肩透かしの極致。雫酒や中取りならいいわけでもない。
 
この4本の純米大吟醸は順当に高品質ですが、左3本は個性の面白さが印象的。岐阜のお酒の流れのスムースさと風味の透明感、京都のお酒のフワフワした捉えどころのない花霞的空気感の中に秘めた芯の強さ、東京のお酒の朴訥な当たりのよさや朗らかさや親しみやすい温度感。どれも飲んですぐに風景が浮かび、使い途が見える。東京のお酒は余韻が若干短いので点数は高くならないにせよ、実は飲んで一番身体に浸透する感じ。私は東京人なので身体の大半は東京の水で出来ているからなのか。正直、多摩自慢が一番「普通でいい感じ」に思えるとは予想していませんでした。ある意味、テロワールおそるべし。
 
 

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