« カリフォルニアの缶ワイン | トップページ | 新潟市でのワインセミナー »

2019.09.01

ロゼワインと上海料理

 

 ラングドックや南仏品種のロゼワインと上海料理の会を、九段『上海庭』開催した。
 中国料理全般にロゼワインというのは常に順当な組み合わせだ。タンニンによって切るべき過剰な脂肪がなく、ふっくらと丸い味で、かつ酸が低い料理となれば、タンニンも酸も少なくまろやかなロゼが選ぶべきワインだ。もちろんすべての中国料理に過剰な脂肪がないとは言わないが、高級中国料理は概してさっぱりしているものだし、そこにある脂肪は味わうべき脂肪であって除去すべき対象ではない(東坡肉など最たる例)。タンニンと酸が強いと料理の味がドライになることがある。それを避けねばならない。常に言っていることだが、脂肪を使う料理である中国料理において、その脂肪は必要だからそこにあるのであって、脂肪=不要、脂肪=流すべき対象、ゆえに脂肪にはタンニンと酸で相殺させる、という日本で一般的な思考方法は間違いなのだ。フォワグラにクロ・サン・チュンヌの辛口リースリングを合わせるだろうか。
 ところがロゼならいいわけではない。プロヴァンス型現代ロゼの大半は早摘みで酸が高く固いので、むしろ最も合わないワインになってしまう。日本ではそういう「ニース風サラダをプロヴァンスの海辺のレストランで」系のロゼばかりが横行している。もちろんこれも、日本で「酸、酸、酸」と連呼する声の大きい方々の影響であり、困ったものである。

 ボリューム、実体感があり、より熟して酸がまろやかなロゼ、つまり食中酒として機能性が高いロゼは、ラングドックに多い。ラングドックのロゼはプロヴァンスとタヴェルの中間的存在と考えるべきで、実際にそういうポジションを産地全体として狙っているようだ。ところが日本にはラングドックのロゼがほとんど輸入されない。サン・シニャン、ラ・クラープ、フォージェール、ピク・サン・ルー、グレ・ド・モンペリエといった優れたテロワールのロゼにいたっては皆無に近い。本来なら、中国料理に限らず極めて実用性のあるワインのジャンルなのに、それがまるごと抜けているというのはどうしたものか。今回はラングドックのロゼがいかに有用なのかを証明する会である。

 メニューは以下のとおり。
芹菜干糸
酔鶏
軟炸明蝦
八宝鴨
清蒸石斑魚
腐乳東坡肉
開葱燴麺

Dsc07606-2

Dsc07607-2 

Dsc07608-2

Dsc07614-2

Dsc07620-2

Dsc07622-2

Dsc07625-2_20190901151701

 普通に店に行ってもよくある中華料理しかメニューにはないので、これを作ってくれ、と特別注文した。特に今回は上海の有名な宴会料理、八宝鴨を作ってもらった。驚異的においしい。気合の入った時の中国料理は本当に本当におそるべし。中国人シェフは誰も日本風中華など調理したいと思っていない。

Dsc07634-2

 ワインは写真のもの。前菜とバロッサ、エビとサン・ジョルジュ・ドルク、鴨とサン・シニャン、魚とピク・サン・ルー、豚とバニュルス。どれもいいが、サン・シニャンやピク・サン・ルーがいいのは当たり前。特にこれらはラングドックでたくさん試飲した中で特に素晴らしいものを持ち帰ってきたので、別格かもしれない。粘土質で重心が低くボリュームがあって粘りがあるサン・ジョルジュ・ドルクのロゼはもっと注目されていい。しかしこの産地を知っている人は日本ではほとんどいないだろう。日本では情報が偏りすぎだ。そして現地に行かないと買えないバニュルス・ロゼ。バニュルス=熟成風味ではない。コリウールはバニュルスの早摘み辛口と言うべきワインで、バニュルスのリッチな完熟風味に着目すべきであり、ミュータージュという製法や甘さにのみ気を取られてはいけない。今回は協同組合レトワールのオーガニック・ロゼ。昔のレトワールのぼちぼちの品質を記憶している人なら現在の彼らのオーガニックワインは長足の進歩だ。ともかく、どのワインも料理と溶け合い、邪魔しない。ロゼの必然性をよく理解できた。

 

« カリフォルニアの缶ワイン | トップページ | 新潟市でのワインセミナー »

ワインと料理」カテゴリの記事