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2019.09.12

kpオーチャーズの試飲会

オーストラリアらしくないワイン。オーストラリア的か否かより、日本人が選んだことがよく分かる、kpオーチャードが前面に出た味。数十本のワインを飲んでの総体的な感想を社長の谷上さんに伝えると、「オーストラリア人はこういうワインを選びませんよ。オーストラリア料理店より日本料理店で売れる」と。軽やか、しなやか、密度低め、スケール小さめ、重心上、温度感低め、余韻サラリ。どれも似た味と言えばそれまでだが、この美意識と目的意識の一貫性は尊敬に値する。何に似ているかと言えば、岐阜の日本酒。さすがに岐阜の会社。滋賀の日本酒の味が好きなら、本当に対極的なので、こうしたオーストラリアワインを、ガッツなし、男らしくない、と言うかも知れない。

適度に緩く、ワインが自己主張して料理と戦うことがないのは、多くの飲食店にとって使いやすいポイント。少量多品目消費の居酒屋や割烹にとって、料理とワインの一対一対応型古典的フランスワインより遥かに有用だ。

写真は私のお勧めワイン。ヴィノ・ランブルのフィアノとネロ・ダヴォラのペットナットは、マクラーレン・ヴェールで南イタリア品種がどれ程素晴らしい結果を生むか、シラーズばかりに気を取られていては温暖化に対応出来ないかが良く分かる。この輸入元が扱う多くのペットナットの中では、この二つが最も腰が座って充実感がある。

Kp1

 

ロックフォードの微甘口ホワイト・フロンティニャック(マスカット)は、バロッサが酒精強化甘口ワイン産地だった100年前の伝統を伝える希少な古木ワイン。マスカットなのに密度が高く、しっかりした太い味わいで、いかにもバロッサで、タイやインド料理と共に食中酒として好適。無灌漑・自根はやはり素晴らしい。

Kp2

 

リキッド・ロックンロールのホワイトノイズは、リースリングとゲヴュルツの混醸。華やかでいて表層的にならないナチュラルな造り。キング・ヴァレーらしいソフトで明るい土ワイン。この産地にミネラル感は期待してはいけないが、なんにも苦労がない人のよさが魅力的。これで混醸でなければ表面的になってしまっただろう。

Kp4

 

ビオディナミのホッフキルシュのセミヨン・ソーヴィニヨンは、他とはレベルの違う複雑さと陰影感。いかにもヴィクトリアな堅牢な構造と硬質なミネラル。

Kp5

 

ホドルスクリークのピノ・ノワールは、いかにも“ピノ“な、チャーミングでしなやかな味わい。海のそばのギプスランド独特の瑞々しさがいい。シンプルながら表層的ではない。ギプスランドは無灌漑・自根なはず。この品質のピノでこの値段は安い。ヤラとはレベルが違う。

Kp3

 

コーナーのボルドー・ブレンド、ザ・クレアは、クレア・ヴァレーらしい熟した密度の高い果実味がいい。ゴツいワインや樽が強いワインも多いが、これはしなやかでタンニンが滑らか。ナチュラルな味わいだ。

Kp7

 

最近はビオディナミを採用するスモールフライのステラ・ルナは今回試飲した全ワイン中、最高の美味しさ。他のほぼすべてのワインは腰高で小さいが、バロッサはいかに軽やかに仕上げてもスケール感、密度、存在感があり、下半身がしっかりしている。バロッサはダテに有名なのではない。

Kp6

 

バロッサと言えば、古典中の古典、ロックフォードのトーニーはこの輸入元が扱う。偉大な作品だが、酒精強化甘口が無視される日本では、何を言っても徒労に終わる。しかしバロッサはこのタイプのワインで名を馳せた産地。オーストラリアのワインショップにポートがない状況は想像できない。寿司通を自称する外国人が、ウニとトロが好き、コハダと煮ハマグリは嫌い、と言ったら、日本人は、この人は本当の寿司通にあらず、と思うだろう。バロッサのポートはコハダのようなものである。それが嫌いな人を私はバロッサのファンとは呼ばない。

Kp8

 

 

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