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2019.11.18

ピーロート・ル・グランド・テイスティング

六本木で行われたピーロートの大試飲会。数えきれないほどのワイン、それもピーロートらしく相当に高額の有名ワインばかり。来日生産者多数。こんなイベントを単独企業で出来るところが他にあるかと思う。昨年の入場者数は6000名超と聞いた。

好みのワイン、ベストはジェラール・ベルトランのクロ・ド・ラ2016と、デスパーニュのジロラット2015。しかしそれは自画自賛以外のなにものでもないから、言っていいものかどうか。クロ・ド・ラは自分も関わっているし、ジロラットも2015年からは自分のアイデアを取り入れているからだ。クロ・ド・ラ2016年は相変わらずのパワー感と濃密さと垂直性。2016年は暑いだけではなく渇水が厳しかった年で、そういう天候に強い、というかそれを喜ぶカリニャン品種を主軸としている。だからワインの味わいはタンニンが強く、骨太、ワイルドで、熟成は必須。これは赤身の牛肉のステーキ用のワインだ。

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ジロラットは2015年からはカベルネ・フランを15%ブレンド。長年ティボー・デスパーニュさんに「メルロ100%は間違い。カベルネ・フランは酸、香り、キメ細かさ、伸びやかさ、上品さのためには必須」と会うたびに言い続け、ついに2015年には私好みの味に。「田中さんの言うとおりにしたらおいしくなった。このワインを初めて作った時と比べて時代が変わったし、自分もワインにエレガンスを求めるようになった」と。私の考えを理解してもらうのに10年もかかった!それに比べて自分がブレンドに関わっていないベルトランのシガリュスも、デスパーニュのモン・ペラも水平的。シガリュスはそういう畑のキャラクターだから、それにあの普通の飲みやすさを好む人もいるから、私はあれこれ言う気はないが、モン・ペラは現状ではいかん。痩せていて下半身が弱く、青く、リズムやビビッドさやうま味に欠ける。どうすればよくなるかについて延々と話していた。モン・ペラの評価は高いが、皆さん現状の味でいいと思っているのだろうか。もちろんまずくはないが、彼らの畑と彼らの技術をもってすれば、この程度で満足していてはいけない。私のような普通の人にも分かるレベルなのだから、必ずやプロなら分かるはずだ、テロワールのポテンシャルが十全には表現されていないことが。そして何が問題なのかも。裏でごちゃごちゃ批判している暇があったら、ティボー・デスパーニュになぜ改善方法を伝えてあげないのか。ジロラットの白もセミヨン50%とソーヴィニヨン50%でいいわけがないではないか。飲めば適正比率はセミヨン53%、ソーヴィニヨン46.7%、ミュスカデル0.3%ぐらいだと常識で分かるだろう。ティボーは「ミュスカデルは酸が低いではないか」と言うから、「0・3%で総酸量に差など出ない。しかしごく少量でもミュスカデルはキメの細かさ、気品、香りの伸びを与える」と言った。今またデスパーニュにメールして、「やればできる。だからやれ」とはっぱをかけたところだ。

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ボルドーの有名シャトーの中では、ラフォリー・ペラゲイのセカンドワインの清涼感があって甘さが控えめな味が素晴らしい。グラン・ヴァンは、ラフォリー・ペラゲイに限らず、重すぎ、甘すぎだ。そしてドメーヌ・ド・シュヴァリエ赤の2014年の気品あふれる味わいと見事な垂直性と中心線の確かさと酸の細やかさ。「2014年は大傑作!」と興奮していると、オーナーは「このヴィンテージのドメーヌ・ド・シュヴァリエがいいと思う人はワイン通。普通の人は、世評が高いから2015年と2016年を褒めるが」。他のもろもろのボルドーは薄い、酸っぱい、弱い、スタティック。最近の早摘み傾向は本当にいやだ。グレート・ヴィンテージ=暑い年=高アルコール&低酸になる=早摘みする、という、せっかくのグレート・ヴィンテージを無にするような現代主流の考え方は間違いだ。今回はそこそこ熟成したヴィンテージのボルドーも多く出品されていた。困ったことに、それらがおいしいとは思えない。この十年のボルドーの進化は大きく、2005年といった高名なヴィンテージを飲んでも随分と昔の味(古きよき、ではなく、単に古いだけ)に感じてしまう。日本人は熟成に価値をおくが、最近のボルドーはすぐに飲んだほうがいいかもしれない。

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イタリアワインの中ではトスカーナのヴァルジャーノが秀逸。さすがビオディナミ。ダイナミズムが違う。アメリカワインの中では毎度毎度同じことを言っているが、セゲシオがいい。例によってドライ・クリークのジンファンデルはいいに決まっているが、今回はじめてアレグザンダー・ヴァレーのサンジョベーゼを飲み、その整って上品でかつ密度の高い味わいに感激した。カリフォルニアのサンジョベーゼは最近大変においしい。

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