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2019.11.15

『スウィート・ボルドー』のテイスティング・セミナー

ボルドーは伝統的に甘口ワインの産地である、と忘れてはいないか。1855年の格付けで最上位はイケムだと、一級は赤だけはないと。しかしソーテルヌとバルザックだけが甘口ではない。実は中甘口ワインの素晴らしい産地がいくつもある。私が好きなボルドー、ボルドーでしか得られない独特の個性の精華が、それら甘口マイナーアペラシオンである。しかし甘口は生産量の1%に過ぎず、積極的にPRしてこなかった(するだけのお金もなく、生産者もややあきらめ気味だった)。今回、彼らはスウィート・ボルドーと銘打って積極的な活動を始めた。これで少しは認知もされる。ボルドー中甘口ワインファンとして、こんなにうれしいことはない。

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甘口ワインは、特に極甘口であるソーテルヌやバルザック以外は、デザートワインという役割のみに終始するわけではない。食中酒としての個性。それが今回のイベントの主眼である。甘さは滑らかさ、流速の遅さである。ワインの甘さに対応する甘さが(同調的相性)、もしくは塩辛さが(対比的相性)が料理にあれば、スウィート・ボルドーは驚きに満ちた美食の満足をもたらす。

使いこなしにおける重要な着眼点は土壌である。砂礫質なのか、粘土石灰質なのか。これで質感、酸、重心が決まる。フォーカスが緩くソフトで酸が低く上方定位する前者と、その逆の(重心はそれほど下がらないのだが、相対的には)後者である。ボルドー・シューペリュール、グラーヴ・シューペリュールが前者の代表だし、サン・クロワ・デュ・モンとルーピアックが後者の典型といえる。

今回は一期一会的クリエイティブ和食との相性が提示されたが、毎度言うように、創作料理はその場では美味しいかも知れないが再現性がなく、一般家庭での応用につながらない。こんな豪華な会場でなくていいから普通の場所で普通の料理とどれほどスウィート・ボルドーが合うのかを証明して欲しかった。私は知っているからいいし、私の記事を読んでいる人も分かっているからいい。しかし会場を見渡すと一般誌の若い女性の記者多数。彼女らにはサン・クロワ・デュ・モン、セロン、ルーピアック、カディアック、プルミエール・コート・ド・ボルドー、コート・ド・ボルドー・サン・マケール等々それぞれがどういう一般的料理になぜ合うのかといった点をかみ砕いて伝えつつ実際に証明して見せないといけない。後日聞いたところでは、日本サイドではそう思っていたらしいが、フランスサイドでゴージャスにしたかったと。そういう発想そのものがかっこわるい。

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