« ピーロート・ル・グランド・テイスティング | トップページ | 未輸入フランスワイン試飲会 »

2019.11.19

ボルドー、ユニオン・デ・グラン・クリュ、2016年ヴィンテージ試飲会

2016年はボルドーでは文句なく偉大な年。たぶん将来にわたって語られるだろうぐらい傑出したヴィンテージ。以下の解説を見てのとおりだ。

Ugc

しかしワインは二つに分かれる。垂直性、立体感、力感があるもの、ペタっと水平的でエネルギーの弱いもの。ほぼ全てのワインを飲んで、前者は以下の写真のもの。基本的に、写真のワイン(プラス、ランゴア・バルトン)中から選び、あとはアペラシオンと格付け相応だと思えば良し。

Ugc_20191206023401

Ugc_20191206023402

Ugc_20191206023403

Ugc_20191206023501

Ugc_20191206023601

Ugc_20191206023602

Ugc_20191206023603

Ugc_20191206023604

Ugc_20191206023701

Ugc_20191206023702

Ugc_20191206023704

Ugc_20191206023706

 

高密度、堅牢、ダイナミックなヴィンテージであり、集中型。この年で偉大なワインを作れないならいつ作るのかと思うが、それでも多くはフラット、シンプル、高重心。守りに入って無難なワインを作っているシャトー、大企業病に罹患しているシャトー、いまだに農薬味のするシャトー、そして早摘みシャトー。特に近年の早摘み病は2016年のような暑い年にこそ顕著。しかし多くの人はそれを、エレガント、きれい、酸の白痴三語で褒める。彼ら彼女ら人間の顔をしたターミネーターの包囲の中、残された健全な味覚を持つ人類に告ぐ。今この三語を組み合わせて使う人がいたら敵だと思え。垂直性、立体感、拡張力、包容力、浸透力、躍動感、下半身の安定感といった言葉を使う人がいたら味方だ。しかし味方の数は極めて少ない。

簡単な結論を言えば、
ベスト赤 Durfort-Vivans
ベスト白 Carbonnieux
ベスト甘口 Bastard-Lamontagne
この三つは必ず買っておこう。ついにデメテール認証を取得したデュルフォール・ヴィヴァンスは圧倒的。

早摘みターミネーターはどのワイン産地にもいるが、ボルドーにはもうひとつの巨大な敵がいる。ケバい酒好きブランド主義者である。この異星人の集団にはMIBの武器が必要となるため専門家に退治をお願いしたい。この異星人は概して過去と現在の区別がつかないので、現在のボルドーが十年前とはいかに本質的なレベルが異なるかが認識出来ず、昔記憶したブランド名の消費のみに終始する退行主義者である。この本質的違いを生み出しているのが除草剤の廃止、オーガニック化であることは言うまでもない。あの薬くさいエッジ感、えぐみ、固さは、現在のボルドーでは激減している。おかげで飲み口がよく、これだけ量を飲んでも気分が悪くならない。本来ボルドーは、テロワールから考えて、優しく温かくしっとりして馴染みのよい、ゆえに暮らしに寄り添うワインである。それを奇形化してボルドーが真価真髄を体現することを妨げているのは消費者の思い込み、押し付け、幻想である。ところがこの幻想が個人のアイデンティティの一部になっている以上、彼ら彼女らはなかなか幻想を振り切ろうとはしない。幻想を払拭したところにニルヴァーナがあるというのに!

入場した時に偶然、ボルドーのシャトー関係者と会ったので一緒に何種類かテイスティングした。その方の関係シャトーのワインを飲んで、どう思うか聞いてみた。「これではだめです」。「水平的で立体感がないのが分かるでしょう。こんなことでは恥ずかしい」。「それは分かっていて今テコ入れしています」。「しかし何をテコ入れするかが問題だ。理想の味のビジョンがなければ向上できない。ワインは建築であって、最終的な建築のためにそれぞれふさわしい要素がある。よいパーツを作ってそれらを組み合わせたらよい建築になるのか?既にパーツの質はよい。最大の問題はビジョンの欠如だ」。有名シャトーのワインを有名だからだと言ってヨイショしていないで、ダメなところをどうすればよくできるか考えて欲しい。毎度のことだが、彼ら彼女ら何百万人の専門家、ワイン通は、分かっているのに、なぜ言わない?そこに愛はあるんか?おかみさん!

それにしてもこの試飲会は大変に人気。600人限定、招待客向け。もちろん招待されていなかったのだが、オーガナイザーの方を知っていたのでお願いして入れてもらった。ありがたい。

« ピーロート・ル・グランド・テイスティング | トップページ | 未輸入フランスワイン試飲会 »

試飲会等」カテゴリの記事