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2019.12.09

深川市松屋 試飲会

自作のワインプレイスメントベース1ダースを深川市松屋さんに納入しに行ったら、ちょうど試飲販売をしていた。いくつか飲んだ中でのおすすめは、写真のアレッサンドロ・ヴィオロが造るグリッロのオレンジワイン、シンフォニア・ビアンコ。オーガニック。いかにも現代の若手らしい行儀のよさとクリーン&クリアな風味を基調としつつ、ローカルな個性(栗の樽!昔はシチリアにはよくあった)と、オレンジワインならではの構造、粘り、腰の座りがある。明るいエネルギーが感じられるのもよい。聞けばこの年は当主の娘が誕生し、特別に気合が入ったようだ。酸化風味とかもし発酵を一緒にしている人はこの現代的オレンジワインを飲んで欲しい。オレンジワインの進化が実感できる。

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もうひとつ、アッラ・コスティエラのロッソもいい。ヴェネト地元のトラットリアでカラフで出てくるような、無理のない、自然体の味。実際に中身は量り売りワイン。それを特別に瓶詰めしてもらったという。よく自分はタンクから直接手詰めして持ち帰る。その味が好きなのだが、それと同じ。日本ではなかなかこういった完全地元ワインには出会えない。さりげなくビオディナミ。それが2000円とは嬉しい。こういうワインこそ最高の家庭用になる。

しかしこれが分かる人ばかりではない。あるところで実際に聞いたが、つまらない、飲んだ気がしない、と。ゴリゴリ農薬ガッツリ抽出ゴッテリ樽掛けワインを、飲みごたがある、いかにも赤ワインを飲んだ気がする、と言うのだ。さて、どう返せばいいのか。バカヤロウおととい来やがれ、か。そういう人が味を分かるようになるためには、まずは味の素を食生活から完全排除することだ。排除、という冷酷な響きの語は、都知事のように使うのではなく、ここで使うべきものだ。

話はまだ続く。上記のワインは飲みやすいが、ビオディナミらしいのか? 宇宙のエネルギーを瓶に閉じ込めているか?そこがこれからの課題だ。自分にスッとワインが入ってくることを良しとする風潮がこの十年。農薬や添加物へのアンチテーゼとして、まずは身体レベルで違和感があるか否かに着目するのは正しい。とはいえ視点を変えればそれは自分がワインより上に立つ考え方であり、そこでのワインは既存の自我とその認識の枠組みを自動的に肯定する飲料でしかなくなる。ワインが指し示す世界に自分が飲み込まれていくような感覚を与えてくれるワインが、本当にいいワインだ。

 

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