シャンボール・ミュジニー ドメーヌ・ユドロ・バイエ当主来日セミナー
元空軍エンジニアだけあって細部に至るまで遺漏なく緻密、しなやかでいて十分な凝縮感があり、行儀のよい味でいながら冷たさとは無縁で、人肌の温かさを漂わせるワイン。シャンボールの人気ドメーヌ、ユドロ・バイエ当主ドミニク・ル・グエン氏が来日し、アカデミー・デュ・ヴァン青山校でセミナーを行った。
コトー・ブルギニヨン、ブルゴーニュ・ルージュ、オート・コート・ド・ニュイ赤(珍しくもシャンボール村のオート・コート、生産者は二人のみ)、同白、シャンボール・ミュジニーVV、一級レ・シャルムの2017年を試飲。どのワインもクリアな果実味。完全除梗、種より果皮のタンニンを重視したルモンタージュ、控えめな新樽使用といった醸造。グイヨ・サンプルのバゲットを通常の倍の80センチにまで伸ばし、果房間のスペースを取って風通しを良くし、カビ害を防ぐ工夫も、そこに一役買っているだろう。栽培はシャンボール村の多くの生産者と同じく除草剤・殺虫剤不使用。シャンボール村は生産者の仲がよく、16人全員団結して環境保全に取り組んでいるそうだ。ル・グエン氏はラグビー選手だったし、彼の長男はパラ・ラグビーのフランス代表選手だから、ここで使うべきはOne Teamという流行りの言葉だ。環境問題へのあるべき姿勢はそれしかない。彼はさらに努力して国が定めるHVEレベル3を近々取得予定。これからさらに美味しくなるだろう。
レ・シャルムが魅惑的なのは当然として、今回印象的だったのはブルゴーニュ・ルージュ。珍しく重心が低く、厚みがあり、適度にざっくりとして、しかし品が良く、家庭用にぴったり。底魚にも合うだろう。鶏肉用、マグロ用のブルゴーニュ赤は山とあれど、豚肉用、白身魚用は少ないだけに、このワインの有用性は覚えておきたい。この品質で3900円(希望小売)とはありがたい。
2017年は開花が3、4日という極めて短期間で終わった、典型的な集中型。ミルランダージュもなく、香りはフローラルでチャーミング。シャンボールにはぴったりのヴィンテージだ。
« ネイティブ・グレープ・オデッセイ | トップページ | テラヴェール イタリアワイン試飲会 »
「ワインセミナー」カテゴリの記事
- スロヴァキアのナチュラルワイン生産者、Marvla Tindo来日セミナー(2020.02.15)
- シャンボール・ミュジニー ドメーヌ・ユドロ・バイエ当主来日セミナー(2019.12.12)
- 『スウィート・ボルドー』のテイスティング・セミナー(2019.11.15)
- ドメーヌ・ド・ラ・ベギュード当主、ギヨーム・タリ来日セミナー(2019.11.28)
- イヴニング・ランドとサンディのワインメーカー、サシ・ムーアマン来日セミナー(2019.12.02)